夏の始まりとともに訪れる七夕。
離れ離れになった織姫と彦星が唯一会える日
ということで有名ですね。
でも、なぜ二人は離れ離れになってしまった
のでしょう？
今回は、
知っているようで意外と知らない七夕伝説
についてお話します。
さらに、夏の空に浮かぶ
「おり姫星」と「ひこ星」
の見つけ方もご紹介！
七夕が近くなったら、夜空を見上げて
二人を探してみましょう。
織姫と彦星の七夕物語！二人が離れた理由はなぜなの？
織姫と彦星の伝説は中国発祥！
現在日本でもっとも知られている
「織姫と彦星の伝説」は、中国のおとぎ話
「牛郎織女（ぎゅうろうしょくじょ）」
とよく似ています。
では、まず「織姫と彦星の伝説」のもと
となった「牛郎織女」について、ご紹介
しましょう。
星空を支配する天帝（てんてい）という
王様には、機織りがうまく、とても美しい
織女（しょくじょ）という娘がいました。
天の川の西岸に住む織女は、毎日機織りに
忙しく、恋をするヒマもありません。そんな織女を心配した天帝は、
天の川の東岸に住む、まじめな牛飼いの
青年の牽牛（けんぎゅう）に
「まじめで勤勉な牽牛よ、わしの娘の
織女と夫婦になってはくれまいか」
とお願いするのです。牽牛はこの申し出を喜んで受け、
晴れて牽牛と織女は夫婦になりました。しかし、夫婦になった二人は仲良くなり
すぎてしまい、天の川のほとりで朝から
晩まで話し込んでばかり。見かねた天帝が
「そろそろ仕事を始めないのか？」
と注意しても、
二人は
「はい、では明日から」
と言うばかりで、いっこうに仕事を始める
気配がありません。織女が機織りをしなくなったため、
星空の住人たちは新しい布を得ることが
できなくなりました。
牽牛が世話をしていた牛たちも、
やせ細って次々に死んでしまいます。ついに怒った天帝は、天の川の西と東に
織女と牽牛を引き離してしまいました。そして年に一度、七月七日の夜にだけ
会うことを許したのです。
これが七夕伝説と大元となった「牛郎織女」。
七月七日には、織姫と彦星が天の川の
すぐ近くまでやってきて、夜が明ける
までおしゃべりしているのですね。
また、中国には女性がお裁縫の上達を願って
7本の針にきれいな糸を通し、お供えものと
一緒に並べる「乞巧奠（きこうでん）」と
いう行事もあります。
この行事は七月七日に行われるため、
「牛郎織女」に登場する織女と関連
しているとされているのだとか。
夜空にいる「おり姫星」と「ひこ星」を探してみよう
夏の夜空を見上げると、ひときわ明るい
「はくちょう座」が見えます。
天の川の上に翼を広げて、長い首を北側に
向けて飛んでいるような形です。
このはくちょう座を目印にして、
「おり姫星」と「ひこ星」を探しましょう。
はくちょう座の右の翼のすぐ下、
天の川の右側に「こと座」という
小さな星座があります。
ひし形のてっぺんからピョンと飛び出した
こと座の明るい星「ベガ」が「おり姫星」
です。
そして、はくちょう座の左の翼のからやや下、
天の川に隣接する「わし座」。
小さな二つの星に挟まれたひときわ明るい星
「アルタイル」が「ひこ星」です。
ベガとアルタイルの距離は、およそ16光年。
「光年」とは、光が1年かかって届くまでの
距離のことです。
光は1秒間でおよそ30万kmの距離を
照らしますが、そんな光でも16年も
かかってしまうほどの距離！
アルタイルとベガは、とんでもない
遠距離恋愛なのかもしれません。
星空で二人を見つけられないときは、
iPhoneやスマートフォンのアプリを
使ってみましょう。
アプリを起動して夜空にかざすと、
夜空から星座を見つけやすくなります。
ニンテンドーDSのソフト「星空ナビ」でも
同じことができるようですよ。
七夕伝説の真実！織姫と彦星は夫婦だった？
先ほどご紹介したとおり、
織姫と彦星である織女と牽牛は、天帝の
はからいによって夫婦となっています。
七夕伝説は悲恋の物語だと思っている方も
少なくないのですが、実は中国の古い教え
の一つである儒教（じゅきょう）の考え方
が強く出たおとぎ話だったんですね。
儒教の教えをざっくりとまとめると、
「礼儀礼節を忘れずに親孝行をし、
争うことなくまじめに働き、
ときには文化文芸を楽しもう。
皆がそうしていれば、争いは起こらず
国家は平和でいられるよ」
というもの。
織女と牽牛はお互いに夢中になりすぎて
「まじめに働く」
「礼儀礼節を忘れない」
という教えを破ってしまったんですね。
せっかく運命の人に出会えても、
二人の世界にこもってしまっては、
親しい人たちからも祝福してもらえなく
なってしまいます。
新しいことが始まったときこそ気を引き締め、
これまでの習慣や家族や友達への思いやりを
忘れずにいたいですね。
まとめ
七夕伝説のあれこれ、いかがでしょうか。
一見悲しいラブストーリーかと思われた
七夕伝説は、実は
「あんまりひとつのことにハマりすぎて、
周りをおろそかにしちゃいけないよ」
という教訓を含んだおとぎ話でもあった
のです。
今年の夏は、星座アプリを入れた
スマートフォンを片手にきれいな
星空を見上げてみませんか？